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テクノロジー Technology

2023/10/23

Marins(マリンス)水中ナビゲーション

水中ナビゲーション

水中を航行する上で、慣性航法に代わるステルスナビゲーションシステムは、未だ見出されていません。慣性航法の原則は、ジャイロスコープによって測定された角速度を積分することにより姿勢および方位を求め、加速度計によって測定された直線加速度を積分し速度を算出し、速度を積分することで距離(位置)を求めることにあります。しかし、ジャイロスコープおよび加速度計は完全ではなく、それら測定値の小さな誤差は、同時に積分され精度に影響を及ぼします。 従い、慣性航法誤差は、時間とともに増大します。
航行上の誤差を許容限度内に維持するために、外部からの位置情報により位置を更新することが必要です。位置決定には、GNSS信号や天測などが利用されますが、これらの方法が利便性の高いものであっても、水中での利用に適しません。水中においては無線信号が極端に減衰し、当然ながら水中から天体を見ることができないためです。長時間潜水し続けるためには、位置測位を行う間隔をできるだけ長くすることが非常に重要となります。
重要なパラメータは位置のみでなく、3方向の速度成分、姿勢および方位が必要となります。これらのパラメータは高い精度を要求され、短期間で発生するエラーは非常に安定的でなければなりません。またこれらのパラメータの不確実性を理解することも同じように重要と言えます。従って、慣性航法システムは航海のためのパラメータだけでなく、信頼性を実証するために関連する不確実性も計算しなければなりません。

光ファイバージャイロスコープ技術

光ファイバージャイロスコープは、「A」に示す光ファイバーを巻いたループに逆行する光を互いに干渉させるよう構成されています(図 FOG原理 参照)。発光された入射光を2分岐し、コイルの中を反対方向に進行させ、再び合成(干渉)させます。サニャック効果として知られる相対論的原理により、コイルが回転しているとき、2方向に進行した光の光路長に差が生まれます。ここで生じる位相差は、角速度Ωと、コイル「A」の径に比例します。 「A」周りのファイバーコイル巻数が多いほど(またはファイバーコイルの直径が大きいほど)光路長が長くなり位相差が大きくなるため、FOG感度を良くすることができます。

高性能システムでは、コイルの直径が約200mmとなり、光ファイバーが数キロメートル以上使用されます。 FOGの性能は主に、ファイバーコイルと、多機能IOC、そしてカプラー、ポラライザ、モジュレーターの3つの機能を実行する光学部品に左右されます。イクスブルー社では、ファイバーの製造、コイルを巻き付け、多機能IOCの製造に至るまで自社工場で製造しており、こうした社内の縦のつながりによって、様々な分野のエキスパートが互いに議論し合える風通しの良い環境となっています。

長距離潜水のために

このFOG技術に基づいて、イクスブルー社は潜水艦ナビゲーションに適した慣性航法装置シリーズを開発しました。2008年にはじまったMARINS M5(24時間あたり1海里の位置ドリフト)は、その後、FOGセンサーおよびアルゴリズムの改善により、72時間(3日)、96時間(4日)、120時間(5日)および360時間(15日)で位置ドリフト1海里となる性能を有する慣性航法装置の開発に成功しました。これらのユニットは、3つのジャイロスコープおよび3つの加速度計を用いた最小限のセンサー構成となっています。特徴は、システム内の電子機器の数を最小にし、ナビゲーションシステムの信頼性を向上させていることです。最新のセンサー技術において、センサーはシステム全体の信頼性に直結し、MTBFを決める重要な要素となります。イクスブルー社は、光ファイバージャイロスコープ技術を他の追随を許さないレベルに押し上げ、信頼性、性能、静音性の観点から、潜水艦ナビゲーションに満足するソリューションをもたらしました。